バグフィルターは、自動車工場から食品工場まで、幅広い製造工場で使用される集塵機です。フィルター(ろ布)を用いて空気中の粉を捕集するろ過式集塵機の一種になります。バグフィルターの大きな特長のひとつが集塵性能の高さです。水を使った気液接触型の湿式集塵機「ウェットスクラバー」や遠心力式の「マルチサイクロン」など他の集塵機と比較しても、最も高い集塵性能になります。

粒子径0.1μm程度の微細な粉まで捕集できるとされ、高い集塵性能を持っていることから、アコーではバグフィルターを第一選択としてご提案しています。今回は、集塵機の代表ともいえるバグフィルターについて、その原理や構造、フィルターの種類から選定方法まで集塵機メーカーの視点で解説します。


┃1.バグフィルターの集塵原理

バグフィルターは「ろ過」の原理に基づいて 空気中に含まれる粉を捕集する集塵方法です。内部は、集塵室と排気室がフィルターによって仕切られた構造になっています。集塵室へ流入した含塵ガスはフィルターを通過する際に粉が捕集され、ろ過された清浄な空気のみが出口側から排気されます。

バグフィルターは、フィルターの表面に付着した粉が層となります。この層のことを「一次ろ過層」と呼びます。「一次ろ過層」としてできた粉の細かな隙間が新たなフィルターの役割を果たし、フィルター自体の目よりも細かい粒子径0.1μm(サブミクロン)程度の微細な粒子まで捕集できるようになります。「一次ろ過層」はバグフィルターが高い集塵性能を発揮する上で非常に重要な役割を担うものです。新品のフィルターには、まだ「一次ろ過層」がつくられていません。運転を開始した直後は微細な粉がフィルターを通り抜けて、出口側へ漏れることがあるため、「一次ろ過層」をつくる初期運転が重要です。

また、粉を捕集し続けることでフィルターの内部まで多くの粉が入り込み、フィルターが徐々に目詰まりするため、空気の通り道が塞がれて抵抗(圧損)が上がります。差圧の上昇などを目安に、定期的なメンテナンスやフィルター交換が必要です。このように、バグフィルターは高い集塵性能を備える一方で、運転条件や保守管理を適切に行うことが重要な集塵機です。


┃2. バグフィルターの構造

エアショック機構、フィルター取り付けタイプについて説明します。

エアショック機構自動払い落とし機構)
アコーのバグフィルターには「エアショック機構」と呼ばれるフィルター表面に付着した粉を自動的に払い落とす機能が備わっています。圧縮エアを瞬時にフィルターの内部へ噴射し、エアの衝撃と逆流する気流によってフィルターを振動させ、付着した粉を下へ落とします。

エアショック機構はシーケンスコントローラーによって制御されており、任意の一定間隔で作動させることができます。タイマー制御で列ごとに順番に払い落としを行うため、運転中でも装置を停止させることなく長期間の連続運転が可能です。ただし、付着性や粘着性のある粉については、エアショック機構による払い落とし効果が少ない場合があり、安定運転が難しくなるケースもあるので、フィルター選定や機器自体の再検討が必要となる場合があります。

フィルター取り付け方式
バグフィルターには、設置条件やメンテナンス性に応じて、いくつかのフィルター取り付け方式があります。アコーにおける代表的な3種類をご紹介します。


①TR型
装置の天井部からフィルターの取り付け・取り外しを行う方式です。作業者が粉のある集塵室へ入らずにフィルター交換ができる点が大きなメリットになります。衛生的で安全です。装置上部にフィルターを抜き出すためのスペースの確保が必要になります。


②バンド型
集塵室の側面の点検口からアクセスし、固定バンドでフィルターを取り付ける方式です。装置上部にフィルター抜き出しスペースが不要なため、屋内設置など高さ制約がある場合に適しています。一方で、作業者が集塵室内に入ってフィルター交換を行うため、粉に触れる可能性があるなど、作業環境面での注意が必要です。


③スライドレール型
ホルダーにセットされたフィルターを、そのまま横に引き出して交換する方式です。高さ制約がある場合でも集塵室へ入ることなくフィルター交換が可能で、かつ装置上部に抜き出しスペースも不要なため、安全性と省スペース性を両立しています。交換頻度が高い場合におすすめです。


┃3.フィルター(ろ布)の種類

バグフィルターの性能や運転条件を大きく左右するのは、使用するフィルターの種類によります。粉の性状、ガス温度、含有水分などに応じて、適切なフィルターを選定することが重要です。ここでは、アコーにおける代表的な3つの種類プリーツフィルター、円筒ろ布、セラミックフィルターについて解説します。

プリーツフィルターは、ヒダ折りしたろ材を円形状に成形したフィルターです。高濃度条件で使用しても差圧が上がりにくいように、プリーツのヒダ形状を考慮しています。アコーのプリーツフィルターは、同じ長さの標準的な円筒ろ布と比較して約4倍のろ過面積を確保することができるため、円筒ろ布と比べて低圧損での運転が可能です。ろ過面積を広く確保できることから集塵機本体をコンパクトに計画でき、省スペースへの設置が可能となるため、プリーツフィルターが機種選定の第一候補になります。材質は、ポリエステルとPPS(ポリフェニレンサルファイド)と耐熱ナイロンの3種類です。処理ガスの温度や粉の性状に応じて選定されます。対象となる粉じんが微細な場合にはPTFE膜付きフィルターを選定することがあります。

円筒ろ布は、フェルトや織布を円筒状に縫製したフィルターです。アコーでは、プリーツフィルターでは使用できない高温条件の場合に選定します。材質は、ポリエステルと耐熱ナイロン、PTFE(テフロン)とガラス二重織布の4種類です。プリーツフィルターと同様に、処理ガスの温度や粉の性状に応じて選定され、対象となる粉じんが微細な場合にはPTFE膜付きフィルターを選定することがあります。

セラミックフィルターは、布製の「ろ布」とは異なり、セラミック製の硬い材質で作られたフィルターです。通常、プリーツフィルターや円筒ろ布の耐熱限界を超えるような、非常に高温なガスを処理する場合に提案します。材質がセラミックなので、布製のフィルターでは火災のリスクがある火の粉が飛んでくるような条件でも使用することが可能です。


┃4.バグフィルターが不向きな条件

バグフィルターは非常に高い集塵性能を持つ一方で、使用条件を誤るとトラブルや事故につながるため、粉の性状やガス条件の事前確認が重要です。

①火の粉・高温 (例:溶接作業/燃焼炉 等)
火の粉や高温ガスが発生する環境には不向きです。フィルターに火の粉が直接接触すると、火災事故の原因となる恐れがあります。また、一般的なバグフィルターでは240℃を超える高温ガスは使用不可とされています。

②蒸気・ミスト(例:結露 等)
蒸気やミストを含むガス環境では、フィルターが濡れてしまうことで目詰まりが発生します。特に結露が生じる条件下では、粉が水分を吸い込むとベタつきが出て、フィルターの通気性が低下します。

③付着性・粘着性の高い粉(例:油分・食品など)
付着性・粘着性のあるベタベタした粉は、フィルター表面に付着しやすく、剥離しにくいため目詰まりを起こす原因となります。

蒸気・ミストや付着性・粘着性の高い粉は、以上の理由で「エアショック機構」による払い落としが十分に機能しないため、深刻な目詰まりにより圧力損失の増大やメンテナンス頻度の増加など、安定運転を妨げる原因となります。また、フィルターの寿命が短くなる場合もあります。

これらのバグフィルターに不向きな条件に該当する場合は、湿式集塵機ウェットスクラバーなど他の機種の検討も必要です。


┃5.バグフィルターの選定手順

バグフィルターの選定は、単に機種を選ぶだけではなく、使用条件や粉の性質に応じて検討を進めることが重要です。一般的には、「使用条件の確認」から始まり、「フィルター仕様の選定」「ろ過風速の決定」「本体(構造)の検討」へと進んでいきます。

まず最初に確認すべきなのは、そもそもバグフィルターが適した条件かどうかです。たとえば火の粉を含むガスは火災のリスクがあり、240℃を超える高温環境ではフィルターが溶融・破損する可能性があるため適していません。また、蒸気やミストを含む環境ではフィルターが湿って目詰まりを起こしやすく、強い付着性や粘着性を持つ粉も払い落としが難しいため注意が必要です。

フィルターの形状や材質の選定も重要なポイントです。コンパクト化やコスト面を重視する場合は、ろ過面積を大きく確保できるプリーツフィルターが適しています。一方で、高温条件では円筒ろ布が選ばれることもあります。材質については、一般的なポリエステルから高温対応のPPS、耐熱ナイロン、さらにはPTFEまで、温度条件に応じて選定します。加えて、微細粉対策のPTFE膜付き仕様や静電気対策仕様などのオプションも検討されます。

さらに、メンテナンス性や設置条件に応じて取り付け方式を選びます。上から交換するTR型は作業性と衛生性に優れています。高さ制約がある場合は側面から交換するバンド型が適しています。清掃頻度が高い現場では、スライドレール型などが有効です。

そして、処理風量や粉の粒径に応じてろ過風速を決定します。大きな粒子であれば速く、微細な粒子であれば遅く設定することで、効率と安定性のバランスを取ります。

最後に、装置本体であるケーシングの形状や仕上げを決定します。標準的な仕様であれば角型、耐圧が必要な場合は丸型が選ばれます。また、食品や医薬用途では内部を研磨するなど、用途に応じた仕上げが可能です。粉の排出量が多い場合には、ロータリーバルブなどの排出機を組み合わせることで、より安定した運用が可能になります。

このように、バグフィルターの選定は複数の要素を総合的に判断しながら進めることで、最適な性能と運用性を実現することができます。


┃まとめ

バグフィルターは、微細な粉まで高効率で捕集できる一方、安定運転にはエアショック機構による自動払い落としや適切な排出機構、定期的な保守管理が欠かせません。また、仕様に応じたフィルターの選定が重要です。

使用条件を十分に把握し、最適な計画と運用を行うことで、バグフィルターは長期にわたり高い集塵性能を発揮します。バグフィルターの原理や構造を理解したうえで、用途に合わせて最適な集塵機を選んでください。

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