集塵機とは何ですか?と聞かれた時に「工場や現場の粉を集める大きな掃除機のようなもの」と、一般の方がイメージしやすいように伝えることがあります。しかし、実際には集塵機と掃除機は設計のコンセプトが異なる、まったく別のものです。
その違いに「用途・吸引圧・風量」が挙げられます。今回は、集塵機メーカーの視点からこの3つのポイントに絞り、集塵機と掃除機の違いをご説明します。

※注:集塵機のみ「押込圧」あり。
┃1.用途
掃除機は、家庭やオフィスなどの床を掃除する際に使われることが多いです。床に落ちているゴミやほこりを吸引することで、汚れていた床をきれいにすることができます。
一方、集塵機は、工場や作業現場などで空気中に浮遊する粉を回収することを目的に設計されています。主な目的は環境の改善ですが、製品としての粉を回収する用途にも使われることがあります。他にも、食品工場の製造ラインで小麦粉を袋に投入する際に舞い上がる粉を回収したり、木材の表面を滑らかに仕上げる研磨加工中に発生する木粉を集めたりするなど、用途は多様です。このように、「床の掃除」を目的とする掃除機と、「工場や作業現場に浮遊する粉の回収」を目的とする集塵機では、用途に大きな違いがあります。

床の掃除(掃除機)

表面仕上げ加工中に出る木粉集め
(集塵機)
┃2. 吸引圧
掃除機は、床に落ちているゴミやほこりを細長いホースを通して吸い上げるため、強い吸引圧が求められます。吸引口を床に密着させて掃除機内に余分な空気を取り込まないようにし、強力な吸引力を生み出しています。吸引圧が強ければ、カーペットの奥に入り込んだ細かいゴミから、粒の大きめなゴミまで吸い上げることが可能です。
一方、集塵機が集めるのは空気中に浮遊する粉なので、大量の空気を吸い込む必要があります。浮遊するのは粒子の小さい粉が多いため、掃除機ほど強い吸引圧は必要ではない場合が多いです。ただし、環境や状況、粉の性状によっては、集塵機でも強い吸引圧が求められる場合があります。例えば、発塵部までの距離が装置から遠く集塵機のガス入口までのダクトが長い場合や、圧力損失が高い場合、風速を速くしたい場合や集める粉の真比重が重い場合などです。このようなケースでは、強い吸引圧が必要になります。また、集塵機には吸引圧だけではなく「押込圧」もあります。押込圧の例として、乾燥機からの排気ガスを集塵機に送り込むといった用途が挙げられます。

基本的に吸引圧が強い掃除機に対して、集塵機は弱い吸引圧だけではなく強い場合もあるという違いがあります。
┃3.風量
掃除機の吸引口は小さく設計されており、吸引圧を強くしてゴミを吸い上げる構造になっています。掃除機には集塵機ほどの風量は必要ありません。それよりも、強い吸引力や持ち運びやすさを重視した設計が求められます。小風量でコンパクトな設計の掃除機が一般的です。
それに対して集塵機は、空気を吸い込みながら粉を集める点が特長です。空気中に浮遊する粒子径の小さな粉を集めるためには、大量の空気を取り込めるよう大風量な計画が必要となる場合があります。


┃まとめ
集塵機と掃除機は「集める」といった作動は似ていますが、それぞれの用途に合わせて設計されています。集塵機と掃除機の違いは、紹介した3つのポイント「1.用途、2.吸引圧、3.風量」を参考にしてください。
今回は掃除機との違いを比較して集塵機を説明しましたが、集塵機は環境を改善する目的以外にも、製品として使われる粉を回収する目的で使われるなど、用途は多様です。用途に合わせて、集めたい粉やガスに最適な集塵機を選んでください。

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お客様の環境や集塵対象物等に合わせ、イチから設計製造いたします。
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